アイマイモコ通信

どこかにいる友達に向けて書いてます

東京アートまみれ

こんにちは、アイマ イモコです。

年度末の3月も半ばを過ぎましたが、みなさん、忙しくしていますか?

いつもは暇を持て余しているイモコも、この時期ばかりは比較的やることがたくさんあって大変です。

普段の仕事に加え、引継ぎの資料作成も、研修も、確定申告もしなくてはいけないので、毎日パソコンとにらめっこしています。来る日も来る日も白地の画面に黒い文字をひたすら打ち込み続ける日々。日夜白黒のチカチカ文字を見続けているイモコの心には、ある抑えがたい渇望が生まれつつあった。

 

色が見たい。

 

熟したリンゴのような深い赤色が見たい。南国の海のような澄んだ青色が見たい。春いっせいに咲き誇る桜のような華やかなピンク色が見たい。

このまま白と黒のデジタルの波に流されていては、私はモダンタイムスのチャーリーのように、パソコンに全身を挟まれてくたばってしまう…!

 

というわけで、201939日、色彩と人間の手仕事を求めてイモコがはるばる訪れたのは

 

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アートフェア東京2019

 

アートフェア東京とは、毎年東京国際フォーラムにて開催されている、日本最大級のアートフェア(美術品の展示販売を行うイベント)です。

今年のアートフェア東京のテーマは、”Art Life”。真剣にアートと対峙するということは、すなわち自分自身の思想や生き方を見つめなおすということ。価値観が錯綜する現代社会において、多種多様な他者の表現に触れることで自分の感性を磨き、対話することで自己を見つめなおすきっかけになればいい。そんな思いがこめられているようです。

参考URL

https://artfairtokyo.com

 

実は2012年頃から、がん闘病中の2年間を除いて、毎年訪れているこのイベント。今回2年ぶりに参戦ということで、東京国際フォーラムエスカレーターを下っている時点で既に胸がときめきます。

11時の開場とほぼ同時に訪れたのですが、既に会場内には相当数のお客さんの姿が。東京におけるアートの認知度の高さがうかがえますね。

 

エスカレーターを降り切ったロビーでまず目にしたのは、いくつものブースに区切られたスペース。本会場はさらに下の階の展示場なのですが、こちらのスペースにもかなりのボリュームの作品がありそうです。しかも、なんと無料っぽい。贅沢過ぎるやろ!

こちらで展示されているのは、Future Artists Tokyo, World Art Tokyo, Projects/Crossing Sectionという3つの企画展示です。

Future Artists Tokyoは、日本でアートを学ぶ学生さんたちが、作品制作、テーマ設定、展示、運営まですべてを自分たちの手で行う、若いパワーの溢れるプロジェクト。アートが人の目に触れるまでの全工程を自力で行うことにより、次世代のアーティストやキュレーターとしての実力を養う目的があるそうです。

World Art Tokyoは、その名の通り、世界中の新鋭アーティストの作品が集中した、超豪華な国際展。なんと、31か国もの国々の駐日大使が推薦した作家の作品が一挙に展示されているということで、世界の○○みたいなものが大好きなイモコにとっては、まさに垂涎の企画です。

そして、Projects/Crossing Sectionは、キュレートする団体に主眼を置いた新企画です。Projectsは、これからの日本で注目すべきギャラリーが、一押しのアーティストを個展形式で紹介します。6㎡という小さなスペースの中で、いかに作家の魅力を最大限に引き出せるか。ギャラリーのキュレーション力が問われる迫真勝負です。

Crossingは、百貨店による展示を集めています(よく、百貨店に画廊とか、美術販売とかありますよね)。百貨店の画廊といえば、掛け軸や陶芸等の伝統美術を思い浮かべられるかも知れませんが、実は現代アーティストの作品の展示販売にも力を入れているところが多いようですよ。ギャラリーとはまた違った視点での展示が見られそうです。

 

正直この無料スペースだけで十分お腹いっぱいになれそうな充実っぷりですが、本日イモコは4000円の前売りチケットを持ってきているのだ。これを無駄にするわけにはいかない。 無料スペースで脳が飽和状態になる前に、本展へ…と思ったのですが、やはりブースから見える魅力的な作品群に惹きつけられ、ふらふらとブース群の方へ。

どんな作品が出展されているかを軽くチェックしておく程度のつもりだったのですが、いきなりとてつもないパワーを持った作品に出会います。

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まるで生命を燃やしているかのような力強さを内に秘めた、動物の彫刻群。

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みみずくがじっと自分を見つめているように感じます。圧倒されて、しばらくその場に立ち尽くしてしまいました。作品のプレートを見ると、作者は瀬戸優さんという方。大半の作品に「水源」というタイトルがつけられています。どんな意味が込められているのだろう。気になる…。

すると、ひとりの青年がブースにやってきました。さっきまでブースを管理していた人と挨拶をしています。その人が、青年に「せと君、…」と話しかけました。えっ、ではこの方が作家の瀬戸優さん…!

アートフェアの楽しいところは、気になる作品の作家と直接会えて話ができるところです。ここは、勇気を出して話しかけ、彫刻群のタイトルの由来を聞いてみるしかありません。

しかも瀬戸さん、かなりのイケメンである。

いきなり話しかけてきたイモ女にちょっとびっくりされた様子の瀬戸さんでしたが、丁寧に作品について説明してくださいました。

「水源」というタイトルには、動物たちの内側から水源のように湧き出してくるエネルギーと、彫刻に彩色を重ねた時の色の現れ方、また、その色が雨等の水の力によって変化していく姿にインスピレーションを受けてつけられたのだということです。

緊張してしまって、支離滅裂な感想しか言えなかったことと、写真が下手すぎてあまり魅力が伝わらないことが残念ですが、「水源」という言葉に込められた想い通りの、力強い作品を拝見できて、胸いっぱいでした。

画家・彫刻家の瀬戸優さんのtumblrはこちら。→

Yu Seto

 

幸先のいいスタートにウキウキしながら、いざメインフロアに突入しますよ!(もちろん、無料スペースの他の展示も堪能したので、後で掲載する下手な写真でお楽しみください)

 

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入り口で迎えてくれたのは、縄文土器がカッコよくプリントされた大きなパネルです。

個人的にアートフェア東京の最大の魅力だと思うところは、なんといっても出品作品の幅広さ。今回も、最新の現代アートはもちろんのこと、日本や中国・朝鮮の陶磁器等の所謂古美術、東西の大家の名作絵画、なんと古代オリエンタル美術まで、ありとあらゆるジャンルの良品が勢ぞろいしているのです。よく言えば幅広い興味を持っている、はっきり言えば無節操なイモコのような客にとっては、非常に見応えのあるイベントなのです。

このパネルを掲げていたブースでも、印象的な木彫りの仏頭や縄文土器と、現代作家による作品とのコラボ展示が見られて、印象的でした。

 

あちこち目移りしながら、広い会場を歩き回っていると、またインパクトのある彫刻作品に出会いました。

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凛とした姿の猫さん。猫の自然な姿態を表現しつつも、エジプト彫刻の猫のような気品に満ちています。猫好きの私は思わず足を止めてしまいました。

ギャラリストの方のお話によると、この猫さん、一木造によって作られているそうです。しかも、背中の丸みのある部分に年輪の中心がくるように、ちゃんと計算してつくられているとのこと。作家さんの技術と細かい配慮に舌を巻く思いです。

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この猫さんを作られたのは、三宅一樹さんという作家さん。展覧会タイトルは、「聖猫」というものでした。まさに展示にぴったり当てはまるタイトルです。 

うっかり撮影するのを忘れたのですが、岐阜県の神社の御神木の一片から、木の形を生かしたまま彫られた猫の彫刻も、非常に心揺さぶられるものでした。木という素材に宿った生命力を表すのに、猫という、生の本能と神秘性を併せ持った題材は、相性の良いものだと感じました。

作家の三宅さん自身、何匹もの猫と一緒に暮らしているそうです。いつも身近に猫を観察しているからこそ、猫が見せる多面的な表情の中から、その魅力をもっとも発揮する一瞬の姿をとらえることができるのでしょうね。

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本展示を企画された、東京都日本橋にあるギャラリーこちゅうきょさんでは、三宅さんの猫作品に加え、木彫りの神像等を展示した聖猫―Holy Cat” 三宅一樹 木彫刻展を、2019318日㈪~330日㈯開催中だそうです。残り会期は短いですが、東京にお住いのアート好き、猫好きのみなさんには、ぜひ足を運んでみてほしいです。

ギャラリーこちゅうきょさんのホームページはこちら→

壺中居 ギャラリーこちゅうきょ

 

普段はどちらかというと、西洋絵画や洋楽など海外のものを好む性質のある私ですが、この日惹きつけられたのは、ぐっと和の雰囲気のスペースです。

展示されていたのは、数点の書と、焼き物の取り合わせ。そのすべてから、ほとばしるような力強さが感じられます。なんというか、作家が全身全霊で作品に向かい合っている気迫が作品を通してこちらがわにダイレクトに伝わってくる感じがするというか。

展示されていたのは、辻村史郎さんという方の書と陶器、故井上有一さんの書、そして、元総理大臣・細川護熙さんの書です。主催は、株式会社かみ屋さん。

見るのに夢中で写真撮影を忘れていたので、パンフレットの写真で失礼します。

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まずは辻村さんの作品について。全面に墨の力が漲っている書と対照的に、陶器はころんと丸い形が優しく可愛らしい。ギャラリストさんが、手に取ってもいいと勧めてくれたので、おそるおそる持ち上げてみたところ、手に吸い付くような、柔らかい土の感触がしました。ギャラリーで実際に花瓶として使用してみたところ、花がちゃんと呼吸できるようなつくりになっているため、普通のガラスの花瓶等に比べて、花が長持ちするとのこと。土の生命力が、花にも伝わるのかも知れませんね。

続いて井上有一さんの書です。井上さんはかなり高名な書家なので、ご存知の方もいるかも知れません。井上さんの書は、力強い中にも、自由でのびやかな精神が息づいています。禅味とでもいうのでしょうか。今回展示されていた中でも気になったのが、宮沢賢治の童話の一節をコンテペンシルにより書き表したもの。

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活字印刷で読んだ時とはまた違った息遣いを持って、賢治の言葉があたたかい肉体をまとって目の前に現れたようで、胸を打ちます。ギャラリストさんのお話によると、井上さんは生涯宮沢賢治に心酔しており、亡くなった時唯一の宝が入っているという箱を家族が開けた時に、中に入っていたのは賢治の生原稿だったそうです。賢治の言葉に心の底からシンパシーを感じ、その言葉を自分の血肉にしていたからこそ、彼の表現に新しい命を与えることができたのではないでしょうか。

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細川護熙元総理が芸術家としての顔を持っているということは知っていたのですが、実際の作品を生で見たことはあまりありませんでした。今回彼の書を目にしたとき感じたのは、真面目さと表裏一体となった飄逸さです。硬派な印象とユーモアが共存する作品を見ると、政治家であり、芸術家であるという彼の両面的な生き方な意味が少しわかるような気がします。そういえば、細川さんはちょっと前に、小泉元総理と一緒に、脱原発運動を積極的に行っていましたね。あの活動についての賛否はともかく、アーティストとしてのヒューマニズムが、政治家としての彼を支えた面もあったのかも知れません。

とても作品を買いそうもない貧乏くさいイモ女に、すごく親切に応対してくれて、面白いお話をたくさんしてくださった優しいかみ屋さんのHPはこちら→

Kami Ya Co.,Ltd.

今度東京に行った際には、ぜひ訪問したいと思っています。

 

その他魅力的な作品・ブースたくさんありましたが、全て紹介しようと思うと、ドン・キホーテ並みの長編になってしまいそうなので、以下イモコの気になった作品を、写真によって紹介します! 

 

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花に覆われたミサイル。中には、花の種が込められています。

 

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蓮っ葉な犬の姐さん。

 

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知り合いに似た顔があるかも?

 

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ハシビロコウに見つめられる。

 

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ブローチなどのオリジナルアクセサリーの展示もありました。

 

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人気の野口哲哉さんの武者シリーズ。侍だってやる気ない時もあるよねぇ。

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月に吠えてます。

 

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「イモコに似てるね」と言われました。私はこんなに美しくありません。

 

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ジャマイカの作家さんのステンドグラス作品。南米の海はこんな色なのかな。

 

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イスラエルの作家さんのインスタレーション。意味深です。

 

全体的な感想としては、

・動物をモチーフにした作品が多かった。特に、彫刻作品は真に迫った表現の作品が多く、動物という題材と、木や土という素材そのもの両方に内在する生命力が感じられた。

 

・東アジア(中国や韓国)の作家に勢いがあると感じた。抽象画において独特の表現をしている作家が多いように思う。

 

・現代美人画というのか、女性の絵は毎回多く見かけるが、何故か自分が魅力を感じるものはそれほど多くない。絵そのものは素晴らしいものが多いので、私の好みの問題だろう。しかし、古くから現在の漫画まで、女性の姿というものが絵画の最大のテーマであるということの意味は、一度考えてみる必要があるかも知れない。

 

と、後半駆け足でしたが、アートフェア東京の魅力の一部でも伝えられたなら嬉しいです。2019年のイベントは終了してしまいましたが、これからも恐らく年に一度開催されると思うので、芸術ファンのみなさんには、ぜひ一度この圧倒的なアートの洪水を身に浴びてみてほしいですね。一日で脳のチャンネルがぐぐぐっと増えること間違いなしです。

イモコも一日アート漬けになることができて、すっかり満足でした。

そうは言いながら翌日も国立西洋美術館のル・コルビジュエ展に行きましたけどね!  アートの道に終わりはないということで…

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